理事長エッセイ

平成26年1月1日

新 年 に 想 う
 ―― 日本人としての誇りと自信を取り戻そう ――

理事長 安井俊明
② 日本人の心の奥底にひそむ無常観
 3年前の東日本大震災において、日本人は、悲しいながらもその現実を静かに受け入れました。フィリピンやアメリカなど多くの国では、自然災害の際には、救助品の奪い合い・略奪・暴動・殺人等が起きていますが、日本ではそういう話をほとんど聞きません。
 それは、私は、日本人の心の中に、「世の中の全てのものは移り変わり、同じ状態が久しく続くことはあり得ない」という無常観があることも一因ではないかと考えています。

 平常は意識していないけれど、日本人の心の奥底に潜む無常観、それはどこから養われたのでしょうか?

 日本人は、二千年の昔から、春・夏・秋・冬の四季の移り変わりの中で生活してきました。春には綺麗な桜が咲きますが、それも僅か十日ばかりで散ってしまいます。全てのものが移り変わっていくということを肌身で感じながらの生活でした。
 また琵琶法師(盲目の僧)による平家物語(平家でなければ人にあらずとまで言われ、栄華を誇った平家が滅びていく様をえがいている)の語りなど、無常観が根底にある仏教の影響も多くあったと思われます。
(注:無常観を、消極的な受け身でのみ受け止めると、誤解が生じます。悪い事、悲惨なことも永くは続かないとも受け止めることが出来ます。あの震災後の悲惨な状態も、そのまま久しく続くはずがないと受け止めるのも無常観の一つであり、努力・明日への希望を与えてくれます。)



■ 新年に想う 日本人としての誇りと自信を取り戻そう ■
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