理事長エッセイ

平成19年11月

本を好きになると 世界が広がり 自分が変わる

理事長 安井俊明

 生活発表会に向けて、日毎に、園内に活気が満ちつつあります。
練習のため1階から2階に移動する年少さん年中さんは、先生室前を通る際、大きな声で、「行ってきます」それに対して、「行ってらっしゃい。しっかりね!!」と応えます。
戻ってきた時も「ただいま」の声,声。 それに対して「おかえり。楽しそうね!」の返事。
園児達の表情は、本当に生き生きとしています。

『こういうやりとりを通して、周りの人との挨拶や接し方を学んでいくのだなぁ』とも感じます。
 しつけは、決して難しいことではありません。「相手の立場に立ち、考える子供になる」これが基本なのです。しつけとは「我慢」を教えることです。「人間としての軌道」に乗せることです。そしてそこから何かを学ぶことなのです。

『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』

ロバート・フルガム著 河出書房新書

 人間、どう生きるか、どのようにふるまい、どんな気持ちで日々送ればいいか、本当に知っていなくてはならないことを、私は全部残らず幼稚園で教わった。人間の知恵は大学院という山のてっぺんにあるのではなく、幼稚園の砂場に埋まっていたのである。
私はそこで何を学んだろうか。

 ★何でもみんなで分け合うこと
 ★ずるをしないこと
 ★人をぶたないこと
 ★使ったものは必ずもとのところに戻すこと
 ★ちらかしたら自分で後片づけをすること
 ★人のものに手を出さないこと
 ★誰かを傷つけたら、ごめんなさい、と言うこと
 ★食事の前には手を洗うこと
 ★トイレに行ったらちゃんと水を流すこと
 ★焼きたてのクッキーと冷たいミルクは体にいい
 ★釣り合いの取れた生活をすること──毎日、少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、
                           歌い、踊り、遊び、そして、少し働くこと
 ★毎日かならず昼寝をすること
 ★表に出るときは車に気をつけ、手をつないで、離れ離れにならないようにすること
 ★不思議だなぁ、と思う気持ちを大切にすること

上記のようなことを本から学ぶことが出来る。よい本との出会いは、世界を広げ自己を変革します。
 2学期の初めに、年中のお母さん(ばら組 神馬純子さん)から次のようなお手紙を頂きました。

                夏休み 本の読み聞かせを始めて
                       ―― 子供達に色々な変化が現れて ――

 夏休みに入る前の前理事長先生のお話で、本の読み聞かせの大切さを教えて頂きました。
 西條八十の詩もパソコンで検索し、改めてじっくり読んでみました。
私も長女亜美が幼い頃は毎晩読み聞かせをしていたのですが、圭佑がうまれ、夜の本読みの時間がじっくりとれなくなり、次第に読んであげる時間が減ってきました。
 先生のお話を聞いてから、そういえば、今は亜美も圭佑も同じ本を楽しめるのだから、また再開しようと思い、図書館でたくさん本を借りました。
寝る前に、布団へ1冊絵本を持っていき、二人の間に入って読んであげています。
 子供たちのいろんな変化が目に見えてわかりました。
まず、今までは寝る時間が嫌いで、なかなか寝る準備がはかどらなかったのが、その時間が楽しみになって、寝る準備もさっと出来るようになりました。
それから図書館に行っても、読みたい本を選ぶのが あまりすすまなかったのに、これも読んでほしい!!と、次々にたくさん本を選べるようになりました。
 いろんな話を聞き、毎日楽しい時間を、子供たちも私ももっています。これからもずっと続けていこうと思います。
いつも安松幼稚園での授業参観後の先生のお話から、私も、勉強や発見、子育てのヒントを いただいています。 ありがとうございます。

ここでもう一つ、世界中で読まれている詩を引用しましょう。
『子どもが育つ魔法の言葉』は、22ヶ国語に翻訳され、世界中で多くの共感を呼び、
『子は親の鏡』は、37カ国語に翻訳されました。

『 子 は 親 の 鏡 』      ドロシー・ロー・ノルト

批判ばかりされた 子どもは
非難することを おぼえる
賞賛を受けた 子どもは
評価することを おぼえる
殴られて大きくなった 子どもは
力にたよることを おぼえる

フェアプレーを経験した 子どもは
公正を おぼえる
笑いものにされた 子どもは
ものを言わずにいることを おぼえる

友情を知る 子どもは
親切をおぼえる
皮肉にさらされた 子どもは
鈍い良心の もちぬしとなる

安心を経験した 子どもは
信頼をおぼえる
しかし、激励をうけた 子どもは
自信を おぼえる

可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世界中の愛情を 感じとることを おぼえる 
寛容に出会った 子どもは
忍耐を おぼえる

昨今、子供が本を読むことが少なくなったと報じられていますが、それは、親が本を読まなくなったからだと私は思っています。
上記の詩をまねるなら、
      本を読む習慣のある家庭で 育てられた 子どもは
      自然と本を読むのが好きになり 自分の世界を広げることを おぼえる
とでもなりましょうか!!
 本の世界は、時間を越えて旅をし、地理的に広大な原野もひとっ跳び、そして読書から生まれた想像と思惟は、瞬時に新しい世界を創ることを可能にします。
全ての家庭の中に、本を楽しむ風が流れる事を、強く願っています。
大人にも子供にも良いことずくめですよ!!
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